実はとあるSS作品が好きになり、このSSを始めたのですが。
どうにも、同じシチュエーションを真似しちゃうんですよね。
申し訳ありません。
今後、随時修正していきますので、どうかお許し下さい。
作品自体は掲載が遅れますが、続けてゆきますので、どうかお見捨てなきよう、見守っていただけると幸いです。
ご迷惑おかけしたこと、深くお詫びいたします。
ZEROの使い魔の世界に転生しました
第32話 手紙回収イベント
死亡フラグ満載の手紙回収イベントに関わりたくないボクは、学院長室でのやり取りが終わってから雲隠れする気満々でした。
何故なら、原作2巻ラスボスのワルドと戦いたくないのですよ。
それに生き残ったとしても、大軍からルイズ達と一緒に逃げないといけない状況に必ずなる。
マローダーを連れて行くとして、彼の飛行能力では滑空でもアルビオンから脱出するのは難しいのです。
ワルドのグリフォンやヒポグリフが長距離走者なら、マンティコアは短距離走者なのですよ。
必ず途中で海に落下する事請け合い。
故に、手紙回収イベントに絶対参加したくないのです。
「ふう。ザザの淹れてくれる紅茶は美味しいですね。それと、添えられるお茶菓子の美味しい事。貴女には、早く王宮に戻ってきて欲しいものです」
「はあ」
姫様に紅茶をお淹れする、ボク。
王宮勤めの頃、伝令以外に散々やらされたのが、お茶淹れ。
なにせアンリエッタ姫様は、王族ゆえにありとあらゆる美食を堪能した所為か、普通のお菓子に見向きもしません。
そこで、ボクの出番。
ボクは地球での記憶があるので、ハルキゲニアにはないお菓子や料理を作る事が出来ます。
薬草学の応用で、カカオ豆に似た植物を探してチョコレートを作成したり、豆類を品種改良して小豆を作ったり、野苺を大粒のストロベリーに品種改良したりとかして、様々なスイーツをガスコーニュ領で開発したのですよ。
美食家の父上が喜ぶので、それはもう派手に作りまくりました。
それが、姫様の耳に入ってしまい、伝令役の他にお茶淹れ役が追加されてしまったのです。
ボクのパティシエ技能が上昇したのは、これの所為なのですよ。
ええ、もう、王宮に行く度に大変疲れましたね。
今日、姫様ご一行+学院教師達にお出ししているのは、おはぎです。
真っ黒団子な見た目に皆ビックリしていますが、姫様はとても美味しそうにパクパク食べてますね。
本当はこれ、任務から戻って来たタバサを労う予定で大量に作ったものなのですよ。
ごめん、タバサ。
「今日のこれ・・・たしか東方の『おはぎ』というものでしたね?」
「はい」
「ほう? ミス・ガスコーニュは東方の菓子をよくご存知で?」
おや、ワルドが食いついてきましたね。
「ガスコーニュ領の現領主である父上・・・いえ、アドリアン・ド・ガスコーニュ子爵が、兎に角美食家でして。当家には、様々なお菓子や料理のレシピがあるのですよ。それはそのうちの1つに過ぎません。レシピの量が膨大過ぎて、未だ整理がついてない始末で、それが本当に東方の菓子であるかもよく解りません。お恥ずかしい限りです」
「いやいや、責めているのではないのですよ。ミス・ガスコーニュにこのような女性らしいご趣味があった事に驚いただけです」
「「「「うんうん」」」」
こら、ボンクラ教師共、何ワルドに共感してやがりますかね。
「これは、豆を甘く煮たものですね。あまり見かけない品種のようですが?」
「それは小豆と言って、東方の菓子によく使われる豆だそうです」
「ほお。この中に詰めてある白いものも豆の一種ですか?」
「いえ。それはロマリア等で取れる米という作物です」
「おや? では、これはロマリアの菓子? 枢機卿もお懐かしい味なのでは?」
「米はあるが、このような菓子はロマリアでは見たことがない。ミス・ガスコーニュの言うとおり東方の菓子でしょうね」
実験大好きコルベールを筆頭に質問されまくりな、ボク。
う~ん、抜け出しにくい。
結局、学院長室からお昼の会食、お昼のお茶会、夕食に食後のお茶会と、ずっと姫様に就きっぱなしでした。
おかげさまで、ボクの部屋に作り溜めしていたお茶菓子が0に。
ここの連中、本当お茶好きだよねぇ。
足りない分もマルトーさん達と一緒に作らさせましたよ。
すげー疲れました。
ようやく解放されたのは、夜。
風呂入ってもう寝るべって感じですね。
でも、入浴したらボクはマローダーに乗ってどこかへ雲隠れしますよっと。
「はぁ、王宮以上に扱き使われたわ。・・・・ん?」
クイクイ・・・。
外にある半露天風呂からの帰り、ボクのマントを引っ張る影が・・・。
「しっ! 静かに。・・・ザザ。ルイズの部屋に案内なさい」
「あぁ、やっぱりか」
はい、真っ黒な頭巾をすっぽりかぶった姫様登場。
ご丁寧にマントも真っ黒。
それだと返って目立ちますよ、姫様。
「はいはい。こっちですよ」
「静かに。皆に見つかってしまうわ」
もう、見つかってますよ。
距離を置いて護衛役がこちらを見ていますがな。
気付いてないのかね、姫様。
まあ、密偵ゴッコを楽しんでいるんでしょうねぇ。
ワルド子爵、お疲れ様です。
なるほど、こっそり姫様の後をつけて、任務に潜り込むチャンスを窺っていたのですね。。
大方、姫様の帰り際に手紙回収イベント参加を話したって所でしょう。
はい、ボクの逃亡はここで終了~~っ。
姫様をルイズの部屋まで案内して、原作通り扉にノック開始。
長く2回、短く3回。
すぐにルイズが出迎えてくれました。
そそくさ入る姫様に続いて、仕方なくボクも部屋に入ります。
どうせギーシュが盗み聞きしに来るだろうから、扉を閉める前に、こっそりと廊下に撒き菱をパラリ。
うひひ、準備完了。
扉を閉めると同時に『ディテクトマジック』で部屋を調べるお姫様。
かけるなら部屋に『サイレント』だろうに。
どこか抜けてるんだよねぇ、この人も。
才人くんも、この闖入者にキョトンとしてます。
「どこに耳が、目が光っているか解りませんからね」
「姫殿下、いけません。こんな下賎な場所へ、お越しになられるなんて!」
「ああ、ルイズ! 懐かしいルイズ! そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい! あなたとわたくしはおともだち! おともだちじゃないの!」
かしこまった声で言うルイズを、姫様は抱きしめて注意します。
あーあー、この分だと絶対ボクも手紙回収イベントに付き合わされるんだろうなあ。
そんなテンションダウンなボクと対照的に、姫様とルイズはきゃいきゃいと思い出話に没頭中。
「なあ、ザザ?」
「ん?」
「えーっと、あれって今日来たお姫さまだよな?」
「アレって言うな。ついでに指を差さない」
「悪ぃ悪ぃ。で、ルイズとどういう知り合いなの?」
美少女2人に微妙にハァハァしている才人くんが、こそこそとボクに質問してきます。
「うむ。聞いた事がある」
「知ってるのか、ザザ」
「幼少時の遊び相手なのですよ、ルイズは」
「へー」
ボクも途中から遊び相手にさせられたなぁ・・・ほとんど2人が暴走した後の後片付けだけに。
高価な壷を割った時とか、マリアンヌ様のドレスを破いた時とか、ボヤを出しかけた時とか・・・。
あれ、思い出したら涙が出てきちゃったよ。
碌な事しなかったからな、この2人。
「ところで、ルイズ」
「はい、姫さま」
「ザザのお隣に立っている方は、どちら様?」
ようやく才人くんに気付きましたか。
できればずっとルイズと思い出に浸って、ボクの事も忘れてくれればいいのに。
「この子は・・・彼はわたしの使い魔なのです。名前はサイトって言います」
「えへへ、才人です。よ、よろしく」
姫様に微笑みをかけられた才人くんは、照れたらしく頭をかきながら挨拶。
その挨拶は不敬だよ、才人くん。
「ちょっと、サイト!」
「いえ、構いません。ルイズ、あなたって昔からどこか変わっていたけれど、相変わらずね」
「好きでアレを使い魔にしたわけじゃありません」
才人の挨拶を気にした様子も無く姫様は笑いかけます。
まあ、ルイズは憮然としていますが。
これ以上ここでダラダラと才人くんの解説役をするのも嫌なので、さっさと用件を切り出させましょうかね。
「姫様」
「なあに、ザザ?」
「思い出話をしに態々ルイズの部屋に忍んで来たんじゃないでしょう? さっさと用件を言ったらどうです?」
「はあ・・・ザザは何でもお見通しね」
そりゃあ原作やアニメでアルビオン編は一番好きなところだから、よく覚えてるのですよ。
大筋は変わってないし、たぶん相談も同じでしょうね。
「どういうこと、ザザ?」
「姫様はルイズに相談があるらしいよ。それもゲルマニアやアルビオン関連でね」
「っ!? 本当に凄いわ、ザザ」
驚いてますね、姫様。
「どういうことよ、ザザ?」
「姫様から聞きなよ。ボクは詳しい事は知らない」
「そうなの?」
「ザザの読みの鋭さは、相変わらずね」
「まあ、偶にしか働きませんけどね。・・・では、これ以上は深入りしたくないので、ボクは失礼しま・・・うぉっ!?」
「貴女も聞いて下さい。ねっ」
ボクが部屋から逃げようとすると、ルイズと2人がかりでガッシリと捕まえるとは。
おのれ、アホリエッタめ。
ボクを意地でも巻き込む気ですね。
「わたくしはこの度、ゲルマニアの皇帝に嫁ぐ事になりました」
真剣な瞳でルイズを見ながら姫様は、そう言いました。
ボクのマントを掴んだままで。
「ゲルマニアですって!」
ゲルマニアが嫌いなルイズは驚いた声を上げました。
ボクのマントを掴んだままで。
まあ、ルイズでなくともトリステイン貴族なら、同じ反応をするでしょうね。
「来たるべきアルビオンへの牽制ですね? それに、もし戦争になっても、同盟を盾にゲルマニア軍を引っ張り出せる」
「ザザの言う通りです。そうなればアルビオンは簡単に攻めてはこないでしょう・・・」
「どういうこと、ザザ?」
「ルイズ・・・少しは社会勉強しようよ」
キョトンとするルイズ、ついでにボケッとしてる才人くんに現在の情勢を教えます。
アルビオンの貴族達が反乱を起こし、今にも王室が倒れそうな事。
反乱軍が勝利を収めたら、次にトリステインに侵攻してくるであろう事。
それに対抗するために、トリステインはゲルマニアと同盟を結ぶことになった事。
同盟のために、アンリエッタ姫殿下がゲルマニア皇室に嫁ぐことになった事等・・・。
ん?
なんで、ボクが説明しているんだ?
姫様の仕事でしょ、ここ!
なに、ボクの説明にうんうん頷いてますかねっ。
「でも、その同盟を封じる手がある・・・と、姫様はルイズに相談しに来た訳です」
「そうなの?」
「・・・は、始めから、ザザに相談するべきだったかしら・・・?」
「酷いわ、姫さま! わたしだってお役に立ちますっ! 言って! いったい、姫さまはどうして困ってるの!」
「・・・・」
ダメだ。
ルイズってば、よく解ってないや。
姫様も今一瞬だけ、ダメだこりゃって顔したよ。
「手紙だよ、ルイズ」
「手紙?」
「はい、今ほど・・・後悔した日はありません。おお、始祖ブリミルよ・・・この不幸な姫をお救いください・・・」
姫様は顔を両手で覆うと、床に崩れ落ちます。
自分の境遇に酔ってますね、姫様。
芝居がかり過ぎです。
ついでに指の隙間からこちらをチラッと見ないっ!
「姫さま・・・」
うあぁ、ルイズってばこんな嘘くさい演技にすっかり乗せられてますよ。
姫様の手を取ってキラキラした目で見詰め合ってます。
「わかったわ、姫さま!」
「おお、ルイズ」
「で、悩みを早く言って、姫さま!」
この流れで、まだよく内容が理解できていないのかい、ルイズ?
「・・・・ザザ」
「なんです、姫様?」
「説明(ボソリ)」
あぁ、やっぱりそうなるか。
「おほん。同盟を封じる手というのは、以前姫様がウェールズ皇太子に宛てた手紙なのですよ、ルイズ」
「そうなの?」
「うん」
「じゃあ、それを取り返せば良いのね?」
ほっ、ようやく通じた。
「それは無理です」
何?
ウェールズが持ってるんじゃないのか、手紙。
「ザザの言う通り、それはあの方に宛てた手紙です。ですが、それを持つあの方はいまや城に引き篭もり、反乱軍に包囲されていると聞きます」
「そうなの、ザザ?」
「うん」
「それは大変だわ! すぐにでも手紙を回収しなきゃっ!」
何だよ、姫様も人が悪い。
てっきりもう奴等の手に渡ったのかと思ったじゃないですか。
ついでにルイズもようやく理解してくれましたよ。
「今のトリステインでは、ニューカッスル城を攻め落とした軍勢に押し潰されるでしょう」
「それはさせません! 皇太子からわたしがその手紙を受け取ってまいりますわ、姫さま!」
「無理よ! 無理! 危険です、ルイズ! 彼等がどれほどの数か───」
「今現在で5万超えといったところでしょうねぇ」
「「・・・・ご、ごまん?」」
おや、姫様とルイズ、声がひっくり返ってますよ。
ひょっとして、正確な情報を掴んでいないのか、姫様も・・・。
一応補足すると、今のトリステインはそう簡単に落ちたりしませんよ。
まあ、精々痛み分けぐらいになるまで軍を強化していますが・・・もしや、自国の軍事力も把握してないんじゃなかろうか?
「おほん。まあ、目的は手紙の回収ですし、軍勢と対峙する必要はありませんよ、お2人さん」
「そ、そうね! 言われてみれば確かに」
「ええ、ええ。そう! そうですわ! おほほほほ」
大丈夫かな、この2人?
「姫さまとトリステインの危機を、このラ・ヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、見過ごすわけにはまいりません!」
「おおっ、ルイズ! わたくしのために・・・」
跪くルイズの様子に、姫様感無量?
戦争中の土地に、友達をマジ行かせる気だわ。
冗談抜きで怖いな、この姫様。
『おうっちっ!!』
ん?
扉側から聞き覚えのある男の子の声が・・・。
「何やってんの、ギーシュ?」
「あ?」
扉を開けると、盗み聞きをしようとして撒き菱を踏んだギーシュの姿が。
彼は床に座り込んで、足の裏や膝に刺さった撒き菱を1つ1つ抜いていますね。
シュールな光景だなあ。
廊下で騒がれると問題なので、襟首掴んで部屋に引き入れます。
そんでもって、姫様の足元へポイッ。
「いだだ! ひ、姫殿下! その困難な任務、是非とも、いだ! このギーシュ・ド・グラモンに仰せつけますよう、あたた」
「夜這いかい、ギーシュ?」
「ち、違う!? 僕はただ、怪しい黒ローブがルイズの部屋に、痛! なんで、廊下に撒き菱ががが・・・」
「あぁ、ボクが撒いた。姫様の身の安全を守るためにね」
「あたた。む、無茶苦茶だ! 僕はまだしも、隣のキュルケとかが踏んだらどうするつもりだね、ザザ?」
「ゴメンって謝る」
「「「「・・・」」」」
むっ、何故皆黙る。
臣下として当然の行為だと思うんだけど?
「大丈夫かよ、ギーシュ? 尻の方にも1つ刺さってるぜ」
「あだっ! いきなり抜かないでくれたまえ、サイトくん。痛いじゃないかね」
「文句言うな! うらっ」
「いだっ!」
床でひっくり返っているギーシュに刺さった撒き菱を1つ1つ抜いてあげる才人くん。
才人くんからすると、ギーシュって物凄く可哀想な人に映るのかしらん。
姫様もギーシュを哀れんだ瞳で見てますね。
「グラモン? ・・・グラモン? うぅん、誰だったかしら? 聞き覚えがあるような・・」
「王立陸軍を統べるグラモン元帥のご子息です、ギーシュは」
「あぁ。なるほど・・・ふ~ん」
ギーシュくんにあまり興味なさそうですね、姫様。
って言うか自国の陸軍元帥の姓ぐらい覚えておいて下さいっ!
「いたた・・・サイトくん。もう全部取れたかね?」
「あぁ。しかし、お前よく怪我するなぁ」
「偶々だよ」
ギーシュを介抱する才人くん。
その2人の様子を姫様は、どうしたものかと見つめています。
「姫様」
「なんでしょう、ザザ?」
「話を聞かれた以上、この『バカ』のギーシュも任務に加えてもいいでしょうか?」
「お役に立ちます、彼?」
「ルイズの盾ぐらいにはなりますよ」
「「酷っ!」」
「ザザがそう言うのなら・・・」
そう言って姫様は、男の子2人の前に立ちます。
「サイト殿、そしてギーシュ殿」
「はい」
「はい?」
「お2人にお願いします。彼女を、ルイズを守っていただけませんか?」
「僕は最初からそのつもりです、姫殿下」
「ん? ま、まあお姫さまがそう言うなら。あはは」
「ちょっと、サイト! もう少し口の利き方を気をつけなさいっ!」
「良いのです、ルイズ」
「姫さま」
「・・・・ルイズを、私の友を宜しくお願いいたします。・・・あ、ついでにザザも宜しくね」
「ついで・・・」
姫様は右手の甲を差し出しました。
才人くん以外膝を付いて、トリステインの礼式。
順に姫様の甲に接吻します。
才人くんも理解したのか、嫌々な表情でそれを真似ました。
順番がギーシュの次でしたからね。
ギーシュは感極まったのか、原作同様ここで失神。
姫様、途中からギーシュを虫を見るような目で見てます。
こりゃ、ギーシュくんは戦力外と思ったようですね。
ギーシュくん、お可哀想に。
「わたしたちが、全身全霊を持ってその手紙を一通回収してまいます、姫さま!」
ルイズが立ち上がり、決意表明。
うんうん、メインヒロインしてますね。
「あ? 一通ではありません、ルイズ」
おや?
原作だと一通だったはずだけど。
なんか嫌な予感・・・。
「全部で57通です」
「「「「「多っ!!」」」」」
全員でツッコミ。
ん?
1人多いぞ・・・。
慌てて、ルイズの部屋の窓を開くボク。
そこには―――。
「なにをしているんです、ワルド子爵?」
「っ!? ご、護衛かな? ははは」
―――『フライ』だか『レビテーション』だかで、窓の外枠にしがみ付いていたワルド子爵がいました。
声がひっくり返ってますよ、子爵?
その上硬直していますね。
見つからないと思っていたのでしょうか?
もしや、原作の裏側でも、こうやって盗み聞きしていたのでしょうか?
「ははは、衛士隊隊長として、この私、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドもご協力致します!」
「まあ、子爵! あなたまでわたくしのために!」
「お任せあれ、はっはっはーっ」
こいつ、ドサクサ紛れに参加するとは・・・。
侮れない。
気をつけておこう、うん。
ちょっと間抜けだけど。
兎に角もこうして、アルビオン行きは、原作メンバー+1となりました。
<続く>