ザザの物語介入により、原作と違う事が起きるようになってきましたw
ZEROの使い魔の世界に転生しました
第26話 才人くんの使い魔生活一週間
さて、なんとか無事に決闘イベントは終了しました。
計画通りですね。
ついでに賭け金も回収。
全部で106エキュー83スゥ2ドニエです。
ギーシュと才人に使った費用を考えると大赤字に思えるでしょうが、実はトントンなのよ。
医務室で使った秘薬代は、少し上乗せしてギーシュに請求しましたからね。
次は才人に惚れたキュルケの誘惑イベント、そしてデルフリンガー購入イベントです。
まあ、デルフリンガーは既にボクの手の内にあるので、さっさと渡す予定・・・。
ううむ、やっぱあげたくないなあ。
だってさ、ボクみたいな接近戦メイジにとって、魔法吸収能力のあるデルフって喉から手が出る程欲しい武器じゃん。
ああ、悩ましい。
かと言って、予備のコルト・パイソンなんて渡せないよねぇ。
たぶん、鍛えてない才人くんが片手で引き金を引こうものなら、腕を確実に痛めるだろうし、貴重な弾丸をそうポコポコとあげられません。
しかし、デルフなしの才人なぞ、斬鉄剣のない五右衛門も同然。
未練が残らないうちに、さっさとくれてやりますか。
姫様の手紙イベントまで、それほど時間がないですし、早めに鍛えておく必要もありますしね。
くくくっ、今のうちに平穏を楽しむがいいです、ワルド。
決闘イベントから3日が過ぎました。
ギーシュ復活です。
目覚めてから彼はすぐに、モンモランシーとケティに謝りまくったそうな。
なんでも、モンモランシーにはその場で土下座したとか。
モンモランシーはずっと寝込んでいたギーシュの看病をしていましたから、当然です。
まあ、彼女には許してもらえたと思いますよ。
モンモランシーは、なんだかんだ言いながらもギーシュの事が好きですからね。
ケティの方は、ドーピングギーシュの姿にドン引きしたらしく、関係は自然消滅したとか。
モンモランシーを大切にするんだよ、ギーシュくん。
ボクはその間に、ルイズの説得・・・いや、説明か。
決闘の内容をルイズに説明しました。
説明後、怒った涙目ルイズにポカポカ叩かれる羽目になりましたが、これはこれで良し。
才人くんが強い使い魔だと理解してくれれば良いのです。
ゴメンね、ルイズ。
しかし、君も途中から才人の活躍無視してお菓子食ってたやんかとは言いません。
翌朝目覚めた才人に、散々薄情者と言われたみたいだからいいか。
まあ、自業自得と言えなくもない。
才人と仲良くして下さいね。
才人くんはと言うと、ルイズに文句垂れた後、いきなりボクに決闘を申し込む始末。
ワルキューレの群れに放り込まれた事を根に持ってたご様子。
しかも、自分が強くなったと勘違いしてます。
使い魔のルーンの効果を完全には理解していないようですね。
まあ、速攻素手でボコってあげましたが・・・。
アホですか、才人くん。
原作同様、お調子者みたいですね。
才人くんをボコった後に、ボクはルイズと彼にルーンの説明をしました。
と、言ってもボクが知っているガンダールヴの情報は全て伝えてはいませんよ。
精々、武器を握ると、使い方を理解し、身体能力が向上する等です。
虚無に関わる部分は秘密。
原作だと、ルイズと才人が話し合って解明するんだけどなぁ。
どうもこの2人、考える事を全部ボクに丸投げしてる感じがあります。
「知ってるのか、ザザ?」
「うむ、聞いたことがある」
人をどこかの物知りマッチョ扱いしないで下さい。
まあ、いいや。
グダグダだったとはいえ、才人くんがギーシュに勝った事実は変わりません。
きっと、才人を倒そうと目論むバカが出てくるでしょう。
はい、このタイミングでデルフリンガーを渡す事にしました。
キュルケの誘惑イベントの前に、襲われる可能性も0ではありませんからね。
「と、言う訳で。お詫びを含めて、才人くんにプレゼント」
「うおっ!? いいのか? 剣って高いんだろ?」
「そうよ、普通のだって200エキューぐらいするんでしょう? いくらなんでも、受け取れないわ」
「いいんですよ、ルイズ。それ、68エキュー27スゥ5ドニエで購入しましたから」
「安っ!?」
「しかも、細かい」
ええ、デルフリンガーを購入する時に散々値切りましたからね。
ですが、原作と違って刀身は錆々じゃありませんよ。
魔法無効化とも言える魔法吸収も、既に目覚めさせてますから、格安だけど超凄い剣となってます。
「ささ、才人くん。まずは鞘から『彼』を抜いてご挨拶して下さいな」
「お、おう」
柄まで含めると150サントあまりある長剣を、才人は値段に不安を持ちながらも鞘から抜きます。
「おしゃっ! これで話せるぜ。よろしくな、相棒っ! 俺の名はデルフリンガーだ! 覚えとけ!」
「剣がしゃべったっ!?」
「まさか、インテリジェンスソード?」
おお、驚いてますな2人とも。
「知ってるのか、ザザ?」
「うむ、聞いたことがある・・・・って、何故ボクに聞く? ほら、ルイズに聞くとこでしょ、そこは?」
「だって、この剣持ってきたの、ザザじゃんか」
「そうよ! 早く説明して」
「まっ、それがスジだわな、ザザの嬢ちゃん」
「うわーお」
と、言う訳で説明タイム&才人とデルフリンガーの挨拶タイムです。
面倒なので割愛。
取りあえず才人くんはデルフを気に入ってくれたようです。
刀身も研ぎたてのようにピカピカですからね。
くそっ、いいなぁ。
会話機能いらないから、ボクもデルフのような剣が欲しいよ。
クイクイ・・・。
ん?
またボクのマントが引っ張られてるぞ。
「ねえねえ」
「どうしたの、ルイズ?」
「わたしへのプレゼントは?」
「・・・・・・」
「プレゼント~~ッ」
ルイズがキラキラした瞳でボクを見上げてます。
才人に立派な長剣を与えたから、自分も何かくれって事でしょうね。
まあ、使い魔にあげて、主人はなしじゃあ納得してもらえないか。
「解ったよ、ルイズ。何か欲しい物あるかい?」
「クックベリーパイがいいわ」
「・・・解った」
「やった。じゃあ早くちょうだいっ」
「え?」
「ザザの手作りでっ」
「・・・はい」
こうしてボクは厨房でクックベリーパイを焼く羽目になったのでした。
3日連続で。
さて、ボクのパティシエ修行(?)は置いて、才人くんの使い魔生活を見ていくとしましょう。
才人の朝の仕事は、水汲みから始まりルイズの起床に終わる。
朝早く起きて、洗濯をし、洗顔用の水を汲み、ルイズを起こす。
原作通りですね。
シエスタとお喋りしながら洗濯をする姿を何度も見かけました。
う~ん、ルイズといる時よりも楽しそうですね。
午前から午後の授業の間は、ルイズと一緒に授業に出ているか、部屋の掃除等の雑用。
こちらも大体原作通りっぽいかな。
彼の食事は全て厨房で取らせるようにしています。
原作通り、才人くんは厨房の皆に『我らが剣』と呼ばれるようになったそうな。
マルトーの親父さんに気に入られキスされたらしく、彼の顔は物凄く哀愁が漂ってました。
夕方以降は、大抵ルイズと一緒に居ますね。
まだ、こちらに慣れてませんし、妥当な判断でしょう。
ルイズが勉強もしくは使い魔送還の調査をしている時は、ボクが彼を鍛えるようにしています。
ハルケギニアの地は、魔法か剣が使えないと、即ゲームオーバーな世界ですからね。
まずは、基本の型をいくつか教え、基礎体力の向上を目指して走りこみをさせています。
いきなりレイモン式傭兵鍛錬術なんてしたら、初日で身体が壊れますからね。
ついでにルーンの力を解放した時の運動性能と限界も調べました。
心のありようと、本人の体力によってムラが出る事が判明。
原作通りの設定っぽい。
こちらに来て娯楽もありませんし、才人くんは真面目にボクの用意した訓練メニューをこなしてくれます。
身体を動かした後は、イイ笑顔してましたよ。
思いっきり汗を流してストレス発散ってヤツかな。
まあ、ギーシュの件がありましたから、自分の身は自分で守る必要があると理解してくれたと信じましょう。
デルフリンガーの助言もあるし、原作より早めに強くなれると思います。
頑張れよ、才人くん。
3日目ぐらいから、鍛錬にギーシュも参加しています。
決闘騒ぎで評判が下がりまくって、誰も相手してくれないからボク達のところに来たって感じでした。
お茶会の友でもあるボクは、彼の参加を喜んで迎えましたよ。
まあ、ドーピングの件もありますし・・・正直すまん、ギーシュ。
才人くんと仲良くなっておくれ。
タバサとキュルケの留学生コンビは、夜にボクの部屋でお茶するぐらいしか関わってません。
2人にも事情がありますからね。
キュルケは相変わらず恋に生きてます。
ルイズと違ってギーシュが倒された様を見たらしく、才人くんにモーションをかけ始めているみたい。
誘惑イベントも近いかな?
タバサは決闘イベントの2日後からお出掛け中。
おそらくガリア北花壇警護騎士団の任務でしょうね。
彼女が学院に戻ってきたのは、虚無の曜日の前日でした。
お疲れ様、タバサ。
「ふう・・・夜空が綺麗だ」
『火』と『土』の塔を繋ぐ外壁の近くに、原作にはない小屋がありました。
ボクがオスマン学院長とコルベール先生を恐喝して、無理矢理建てさせたお風呂小屋です。
ガンダールヴの件を王宮に報せない事を条件にね、くくくっ。
お前さんがたが、『遠見の鏡』で覗き見していたのは、まるっとお見通しだ。
ついでに、使い魔のモートソグニルで女の子達のスカートの中や、私生活を覗き見していた事も知っているんだぞ。
うひひ、てな訳でして、念願の個室風呂ゲットだZE☆
魔法学院にも当然、お風呂は備えられています。
粗末な造りの風呂ではなく、床一面が土のスクウェアメイジの手による大理石で敷き詰められた最高級の大浴場。
天井にはステンドグラスが飾られ、湯船には常に花弁か果実が浮かんでいます。
そのような浴場を常日頃から利用できる身分ではあるのですが、ボクは1人ゆっくりと湯を楽しむ方が好きなのですよ。
なにせ、皆と一緒にお風呂に行くと、ボクの真っ白な身体は厭でも目立ちますし、女の子同士のお喋りが始まると無駄に長風呂になりますしね。
ルイズ達には悪いですが、個人風呂を楽しませていただきます。
お風呂小屋の設置に関して、他の教師達の反発が当然ありましたが、その点は無問題。
それは場所です。
『火』の塔よりにコルベール先生の研究室があるのですよ。
このコッパゲ、一度研究に火が着いたら、1~2週間は風呂にも入らず研究三昧。
当然、近付くと臭い。
普段から様々な薬品に囲まれた引き篭もり生活してるもんだから、生徒と教師の両方から苦情が出ているのです。
と言う訳でして、このお風呂、表向きはコルベール先生の物なのですよ。
故に無問題。
「ん~~~っ、生き返るなぁ~~~っ」
ちゃぽちゃぽ湯を揺らしながら腕を伸ばします。
あー極楽極楽。
半露天風呂に作ったお風呂小屋に満足するボクがいますよ。
夜空を見上げながらのお風呂。
う~ん、シ・ア・ワ・セ♪
「ホーホーホーッ」
幸せに浸っていると梟の鳴き声が。
ちっ、またマリコルヌのクヴァーシルか。
おそらく覗きでしょうね。
でも、大丈夫。
ボクにはマローダーがいますからね。
念話で命じれば、すぐに解決です。
ものの1分足らずで、バサバサと梟の飛び去る音が聞こえました。
次に覗きに来たら、マジでマローダーのオヤツにしてやろうかしらん。
「追い払ったぞ、主よ」
「ありがとー、マローダー」
「うむ。この程度お安い御用だ」
「もう上るから、部屋に戻っていいよ」
「うむ」
「おやすみ、マローダー」
「主もな」
小屋の壁越しにおやすみの挨拶をしてから、ボクはお湯から上がりました。
身体を拭いて、パジャマにお着替え――。
ガチャ。
「ずりーぞ、ザザ。ちゃんとした風呂がここにもある・・・って?」
――着替えしようとしてたら、才人くんが扉を開けて入ってきました。
「おっ!?」
「お?」
「お、おおお、女だったのか、お前ぇぇっ!!!?」
ああ、もしかしてボクが女だと気付いてなかったのか。
ついでに指差すな。
しかも、手で目元隠す気ねぇだろ、お前?
しっかり隙間開けて、凝視するんじゃないよっ!
「気付かなかったのか、才人くん?」
「ご、ごご、ごめん、ザザっ!」
うろたえる彼を気にせず、パンツ履いて、パジャマに袖を通します。
タマネギのワンポイントが可愛い自慢のパジャマだZE☆
「め、目のやり場に困るだろうがっ」
「だったら、出なさい」
気の利かない子だなあ。
しかし、こういう物語のハプニング的なアレがボクにも適用されるとは。
主人公特性恐るべし。
「ごめんなしゃい、ザザ」
何度目か分からない謝罪の言葉を口にする才人くん。
しかも、土下座。
まあ、全裸を見ちゃったからなあ。
気持ちは解らんでもない。
むしろ、態と見せ付けるように着替えたしね。
「ホント、ごめん」
「もーいいって。それより用件は何?」
「あ、ああ。ここの風呂をちょっと借りようと思ってさ」
「使用人用のお風呂は使わせてもらえなかったのかい? 頼んでた筈だけど」
「いや、使用人用の風呂ってサウナでさ、風呂入った気がしないんだよ」
ああ、なるほど。
そいつは盲点だった。
確かにサウナでは、普通の日本人は風呂に入った気はしないでしょうね。
それに、原作で五右衛門風呂にシエスタと入るイベントあったな。
すっかり忘れてたわ。
「ふむ。言いたい事は解ったよ、才人くん」
「じゃあ、借りてもいいか?」
「いいけど、使い終わったら栓抜いてお湯捨てておいてね。んじゃ、おやすみ」
湯冷めする前にさっさと退散しますか。
いい加減、土下座も見飽きたし。
「悪ぃな。じゃ、使わせてもらうわ。それと・・・」
「ん?」
「さっきは、マジごめん」
「気にするなよ。次からノックしてくれ」
「あぁ。サンキューな、ザザ」
サンキュー?
ボクの裸の礼も入ってるのか、それ?
ま、まあ、いい。
細かい事は、気にすんな。
明日辺りルイズにバラしてやろうか、うひひ。
「諸君! 決闘だ!」
翌日の事、『風』と『火』の塔の間にあるヴェストリの広場にマリコルヌの声が響きます。
噂を聞きつけた生徒達で、広場は以下略。
「マリコルヌが決闘するぞ! 相手はルイズの平民だ!」
なんだこりゃ?
マリコルヌが才人と広場で向かい合ってます。
こんなイベント、原作にあったかな?
決闘の理由を一応聞いてみるか。
「なあ、マリコルヌ? 一体どうしたんだい?」
「よく来てくれたミス・ガスコーニュ!」
「ん?」
「凛々しい君の全てを暴こうとしたヤツに正義の・・・アバラバッ!! ブベッ! ギャボッ!」
取り敢えず、マリコルヌの頭を両手でホールドして膝を叩き込みます。
さらに、顔と胸、ついで腹に膝を打ち込む打ち込む・・・。
「ちょっ!? 何やってんだ、ザザっ!?」
五月蝿いな。
このブタ野郎は、昨日ボクの着替えを覗きやがったんだぞ。
マローダーが引き上げてから、再度覗きにクヴァーシルを使うとは、まったくふてー野郎だ。
「やり過ぎだって、ザザっ!」
「あん?」
邪魔っすと、才人くんも同じ目だよ、とニッコリ。
「っ!? あ、いえ、どうぞ。続けてくだしゃいっ!」
おらっ、血反吐吐きなっ!
何幸せそうな顔してんだコイツ?
マジ気持ち悪い。
「決闘の勝者っ! ザザっ!」
<続く>