さてさて、ついに魔法学院編となりました。
チート性能の主人公にしないよう気をつけてきたつもりですが、もう充分チートですよねっ^^;
次回辺りから本編に突入する予定かもかも。
ZEROの使い魔の世界に転生しました
第21話 怠惰なボク
やあ、みんな元気にしてるかいっ?
ザザ・シュバリエ・ド・ガスコーニュですよ。
目出度く、トリステイン魔法学院に入学しましたよ。
いやあ、良くもまあ生き残れたものです。
努力の賜物ですね。
さあ、ここからが本番!
ボクの夢は、ルイズ達の活躍をこの眼で見る事ですからねっ!
でも、トラブルは勘弁なっ!
せっかく伸びた寿命を減らしたくないもんっ!
さてさて、どんな学院生活が待っていますかねぇ?
ザザ・シュバリエ・ド・ガスコーニュの朝は早い。
5時に起きて、広場で鍛錬を行うからだ。
ラジオ体操から始まり、ジョギング、軍杖を使っての型の訓練、ナイフの訓練、締めに柔軟運動と、どこの軍人だよとツッコミ待ちな鍛錬を行う。
雨天でも、これは毎朝続いていた。
その後、騎獣舎に向かい、友人でもあるマンティコアのマローダーの世話。
それから、自室に戻り、濡れタオルで身を清めてから制服に着替える。
アルヴィーズの食堂で朝食を済ませ、午前の授業へ。
「ス~ッ、ス~ッ」
今日も机に突っ伏して気持ちよく眠るボクでした、てへ。
実技は寝ないけど、座学の授業がもう眠くて眠くて。
最初は真面目に受けてたんですよ、ボク。
でも、いざ授業が始まると低レベル過ぎて、テンションがた落ちなんですわ。
何しろボクは5歳の時から、領地経営に参加してたし、魔法にしてもレイモンさん達タマネギ家臣団の面子に卒業生でアカデミーの研究員であるエレオノールさんから教わってますから、つまらな過ぎるのです。
おかしいなあ。
原作だと魔法に対しての教育は一流だった筈なんだけど、ここまで低レベルだと不安を感じますね。
原作通りなのは、貴族としての振る舞いや嗜み等に関する道徳的教育に関してが、完全に落第点レベルである事。
もう、勘弁して下さい。
他の生徒達を見ていると、躾のなっていない低レベルのお子ちゃま揃いです。
入学したメイジとしての質も低いですね。
ラインが10人程度、残りは全てドットとか、もう何やってたの15歳になるまで?
トライアングルがキュルケとタバサの留学生コンビのみとか・・・はぁ~っ。
しかも、ライン程度の実力で、この学院じゃエリート扱い。
トリステイン王国の将来が本気で心配になりますね。
魔法以外のレベルも低いし。
算術の授業なんて、小中学生レベルですよ。
居眠りから起こされて、問題を解くよう言われても、ほぼ暗算レベルで答えられてしまうのです。
歴史や社会についても同様。
こっちは、5年間も王宮で事務仕事しとったんじゃあっ!
常識問題過ぎて、退屈極まりないのですよ。
と、言う訳でして、ボクは不真面目な癖に成績が良い困ったちゃんになったのでした。
まあ、コルベール先生の授業だけは何時も楽しく受けてますけどね。
そして、選択教科の軍事教練も実技以外はほぼ爆睡。
トリステイン王国の軍事を影から発展させたボクに時代遅れの戦術論を説いてどうする気なんでしょうって感じ。
教科書に使われてる本なんか3歳の頃に読んだわい。
それに、元傭兵のレイモンさんに散々叩き込まれた戦闘理論がありますからね。
教わるべきものがほとんどないのですよ。
身体を動かす鍛錬では、ボクは堂々の一位をキープ。
二位はギーシュかな。
魔法に頼りきりの連中が圧倒的に多いため、軍人家系以外はガタガタ。
学院の外周を走るマラソンのような授業があったのですが、これも酷いものでした。
トップを走るボクが余分に一周走り終えてから、二位以降がゴール。
こっちはちっとも呼吸が乱れてないのに、皆は死屍累々と。
もっと身体鍛えろよー。
ブレイドを使った鍛錬になると、実践経験の差から、誰もボクに勝てません。
教師でさえ、ボクに太刀打ち出来ない。
ボクはスクウェアクラスと散々模擬戦を経験してますからね。
この学院の大人でボクと互角以上にやり合えるのは、オスマン学院長とギトー先生、そしてコルベール先生ぐらいなもんです。
まあ、コルベール先生は自身が元軍人だと隠しているので、戦う機会はないのですが。
授業以外での生活はと言うと。
決闘を申し込まれる事が多かったですね。
最年少でシュバリエになり、しかも4系統全てラインの上位というボクです。
勝って名声を得ようとか、シュバリエを金で買ったんだろうとか、態度が気に食わないとか、理由は様々でしたが挑まれました。
入学式から計25回も決闘する羽目に。
まあ、そのほとんどが決闘と呼べる代物ではありませんでしたけどね。
ボクが圧勝し過ぎて、勝負にすらならないのですよ。
相手にしたって、最初の相手がギーシュだった事ぐらいしか覚えてません。
そのギーシュもゴーレムを3体しか作れない貧弱っぷり。
一応言いますが、怪我人は出してませんよ。
対戦相手全員の杖を全部ブレイドで斬り落としただけですからね。
交友関係の方は、まあ説明する必要もないかも・・・。
まあ、一応しますけど。
男子生徒からは総スカンですね。
魔法も決闘もボクに勝てないのですから当然です。
精々、ギーシュとマリコルヌと偶にお喋りする程度かな?
ギーシュは決闘後、『次は僕が勝つ!』とか言って勝手にライバル認定してるし。
マリコルヌは餌付けかなぁ。
ボクが自分でお菓子とかを作って食べるのが気になったのか、作るたびに味見しようと近付いて来ますからね。
女子生徒からは微妙。
ボクが何時も男装している所為でしょうか?
時折、『お姉様、これ読んで下さい』とラブレターみたいな内容のこっ恥ずかしい手紙貰ったり、お茶会によく誘われます。
百合展開希望ですかね、これ?
ルイズに聞くと、『白百合の騎士を愛でる会』なんて言うボクのファンクラブがあるとかないとか・・・。
あぁ、決闘の回数が多いは、これが原因か。
はっきり言って迷惑でしかないんですけどねぇ。
話が少し逸れたので戻しましょう。
まともな付き合いのある女子は、ルイズを筆頭に、キュルケ、タバサ、モンモランシーぐらいですね。
ルイズはもう幼馴染状態。
モンモランシーは、ボクが秘薬研究をしているので知り合った程度。
キュルケとタバサは、2人の決闘の立会人をした事が切っ掛けでしたね。
貴族間の交友関係が少ないのは、ボクが平民達に優しいって事かな。
メイド達にハンドクリームをただで上げたり、普通に声をかけてお話していたりしますからね。
貴族らしくないのですよ、ボクは。
こっちの世界では、身分の違いがハッキリしてますからね。
それでもボクは貴賎を問わないでいるつもりですよ。
この件に関しては、目立たないよう気を付けるぐらいですかねぇ。
それと、シエスタとも茶飲み友達になりましたよ。
顔はそばかすのある原作版でした、シエスタ・・・・声はアニメと同じなのに。
マルトーさんともお友達です。
厨房を偶にお借りして、料理やお菓子を作ってますからね。
コルベール先生とは、個人的にお友達になりたかったのだけど、これは上手くいきませんでした。
なにせ、ボクはアンリエッタ姫殿下にお使えする女官。
先生はボクが王宮からの間諜だと思っているのか、会う度に身構えます。
まあ、原作知識があるから、態々過去を探る気もないんですけどね。
仲良くなりたいんですけどねぇ。
ハルキゲニア初の発明者でもある知恵を借りたいのになあ。
そんなこんなで、ボクは問題児としてかなり目立ってました。
オスマン学院長に呼び出しを受けるのも1度や2度ではありません。
「あのだなぁ、ミス・ガスコーニュ?」
「はい?」
「君、何しにウチの学院に来たの?」
「3年分の休暇」
「・・・・」
「9歳の頃から、ずっと働き詰めでしたからねぇ」
「カーーーーーーーッ!!」
「冗談ですよ。冗談。ズル休み1つなく、授業に出てるじゃないですかぁ?」
「ほとんど寝とるじゃろがっ、お主っ!?」
「春先は眠いんですよ。それに虚無の曜日は王宮で書類整理させられてたりしてますし・・・ふあぁ~っ」
「じゃったら、休学にしてもええんじゃが」
「そうですねぇ。じゃあ、この学院で見聞きした事を全部姫様にご報告しなくちゃ」
「なんじゃとっ!? まっ、待ちなさい! 何を言うつもりじゃ、お主っ!?」
「そりゃ、ここの授業内容とか、貴族としての振る舞いをどう教育してるとかですね。当然じゃないですかぁ?」
「ぬぬぬぬぬ・・・・はぁ~~~~っ」
「お小言は終わりで?」
「・・・もう下がってよい。・・・ったく、ああ言えばこう言うし。ワシャ、疲れたよ・・・ブツブツ」
王宮での働きと、総合成績が上位に食い込んでいるため、そう簡単に退学処分に出来ないのですね。
さらにアンリエッタ姫殿下のコネも持ってますから、うひひ。
オスマン学院長も、コルベール先生同様、ボクを王宮からの監察官だと思っているようです。
それで他の教師達も、ボクを厳重注意できないのですよ、おほほ。
学院長とのやり取りも多々あったため、ほとんどの教師達からボクは問題児扱いとなりました。
いえーい。
不良生徒ですね、ボク。
「また呼び出されたの、ザザ? あんたも大概にしとかないと、家に迷惑がかかるんじゃない?」
「気にしない気にしない」
「はぁ~、あんた、昔からマイペースだもんね」
自室の扉を開くなり、ルイズから注意されました。
ため息混じりで。
「ザザ。今日で、あのスケベ爺に呼び出されたの何回目?」
「ん~~~、20回以上って事しか覚えてないや」
「不良(ボソ)」
キュルケとタバサの留学生コンビにまで呆れられてるようです。
ボクの部屋で3人が寛いでますね。
「・・・・扉に『ロック』かかってたよね?」
「開けた(ボソ)」
「・・・またか」
「だって、ザザの部屋、なんか居心地良いんだもんっ」
「そうねぇ。この『タタミ』って床、硬いけど不思議に安らぐのよねぇ」
畳みに座りながら、ルイズ達は楽しそうに笑っていました。
ちなみにボクの部屋には、四畳半程の畳敷きで高さ50サントの高床を設置してあるのですよ。
イグサに似た植物を領内で見つけたので、『錬金』を駆使して作ったなんちゃって畳ですけどね。
だって、未だ日本人の記憶を持つボクはテーブルやソファよりも、こちらの方が落ち着くんですよっ!
後、畳の下ですが、隠し収納スペースにしてたりします。
拳銃とか刀剣類、高価な秘薬、宝石やエキュー金貨とか入れてます。
キュルケのお尻の下は、確か武器スペースだったかな?
そこには鞘に収めたデルフリンガーを隠してます。
なにせ、首都トリスタニアの街並みが変わってしまったので、武器屋が引っ越してデルフ入手イベントが消滅しては困ると、慌てて購入したのですよ。
物語が若干変わるけど、ギーシュとの決闘イベント後に、才人に渡す予定です。
個人的には、ボクが使いたい剣なんだけどなあ。
魔法吸収するし・・・。
「まあ、いいや。で、3人共、ボクに何か用?」
「別に」
「なんとなくかしら」
「おやつ(ボソ)」
「・・・・そう」
どういう訳かこの3人、やたらボクの部屋に入り浸るようになっていたのです。
ルイズは主に授業の事や自身の『爆発』についての相談。
タバサはボクの部屋に置いてある『薬学』や『医療』について書かれた本と『ボクが個人的に作ったお菓子』が目的。
キュルケはタバサの付き添い、もしくはルイズをからかいにでしょうか。
畳に座ってゴロゴロしています。
よく見ると、中央に置いてあるちゃぶ台でタバサは何かをモグモグしてるし、ルイズとキュルケは勝手に紅茶を啜ってますね。
「みんな、おいしい(ボソ)」
「氷室にあったアレ、いただいたわ。ごちそうさま」
「なんで、クックベリーパイにしないのよ。気が利かないんだから」
「は?」
ボクは闇市で購入した冷蔵庫を開きました。
電気がないので、氷を入れてクーラボックス代わりに使ってるのですよ。
で、昨日作ったばかりのプリンと羊羹を冷やしていたのですが・・・。
「ないっ!?」
「「「ごちそうさま」」」
「ちょっ! 全部食べたのっ!?」
「お店を出す時は言ってね。ツェルプストー家がいくらでも援助してあげるわ」
「あんたが帰ってくる前にギーシュとマリコルヌが4つ程持っていったわよ」
「また作って(ボソ)」
「ブリミルッ(畜生)! 自信作だったのにっ!」
こうしてボクはよくオヤツを奪われるのでした。
ああ、またガスコーニュから羊羹の材料送ってもらわなくっちゃ・・・。
授業がつまんないから、お菓子作りに精を出すボクでした。
「・・・・オヤツ食いに来ただけなのね」
「だってザザの作るお菓子、みんな美味しいんだもんっ」
ルイズ・・・そのセリフはどうかと思うなぁ。
嬉しいけど。
「まあ、いいや。ボク、ちょっと外に出るんだけど、みんな出て行ってくれないかなあ?」
「また鍛錬?」
「買い物?」
「材料代出す(ボソ)」
タバサ・・・君はボクをコックかパティシエと勘違いしてないかい?
「マローダーの世話だよ」
「ふぅ~ん」
「男が出来ないからって、幻獣に走るのはどうかと思うわよ?」
「不潔(ボソ)」
キュルケ・・・どうしてそうコアな想像をするの?
「もう2度と背中に乗せてやんねぇ」
「ちょっ! 冗談よ、冗談」
「キュルケの冗談って笑えないわね」
「同感」
「タバサまで、酷っ!」
「私達は乗せてもらえるもんねぇ?」
「ん(コックリ)」
楽しそうだね、君ら。
まあ、こういうやり取りに混ざるのが目的だから、ボクは満足ですわ。
だけど、この時点で仲良くなり過ぎるのもどうかと思うボクも居る訳でして・・・。
才人が召喚された時に影響したらどうしよう?
原作キャラ達との学院生活を楽しみながらも、今後の展開に不安を感じるボクでした。
おっと、マローダーのブラッシングしなきゃ。
<続く>