俺のスタンド 第17話 です。
土曜の夜によしおかさんとチャットでお話しました。
そして、素晴らしい言葉を戴いたので、気合を入れての17話ですw
よしおかさん、ありがとう!
俺のスタンド 第17話
「ようこそ、『サルマキス・クラブ』へ」
そこは、かつてはショーパブのテナントが入っていた場所だ。
不況のために経営が行き詰まり、空き店舗になっている。
そこを使っているのは、物件の所有者との有力なコネクションを持つ人物が『サルマキス・クラブ』の会員だからだそうだ。
こういった場所をいくつか確保して、『サルマキス・クラブ』のショーは秘密裏に行われている、と聞かされる。
「素性の知れぬ方をお招きする事は基本禁止なのですが、NAO様なら告発する事はないと信じます」
黒崎氏に店内へと招待され、客席に座る。
「どうです? あのような舞台で美里さんが素晴らしいショーをお客様に披露する。ドキドキしませんか?」
「いいね」
「ありがとうございます。私、スタッフと打ち合わせがありますので、手持ち無沙汰でしょうけど、ここで少々お待ち下さい」
「いってらっしゃい」
黒崎氏が離れてから、俺は店内を見渡した。
実を言うと、俺はこういった店に一度も行った事がない。
TVや映画でしか見た事がないのだ。
準備中の店内は明るく、かつて空き店舗だったとは思えない程、綺麗に整えられていた。
ちょっとした舞台があって、扇状にテーブル席が並べられ、舞台照明も設置している。
舞台には大画面のモニターが置かれ、どうやら、その画面に映像を映し出して余興を盛り上げる工夫らしい。
面白い事に、各テーブル席にも小型ディスプレイが設置されている。
これも、お客がショーを楽しむための仕掛けだろう。
ウーロン茶をチビチビ飲みながら、俺は周囲をゆっくり眺めていた。
店の入り口付近には男が2人、見張りに立っている。
その2人は服装こそ、よく見かけるポロシャツにジーンズとラフないでたちだったが、抜き身の日本刀を思わせる危険な雰囲気が漂っていた。
こんな男達と街ですれちがったら、俺は絶対に視線を合わせないだろうタイプだ。
舞台の周囲で動き回る作業スタッフが普通の人過ぎて、見張り役が目立つのだろうな。
黒崎氏の指揮するスタッフの仕事ぶりは見事の一言だった。
素人目からも判るほど無駄がない。
まるで、TVや映画の舞台裏の収録を見学しているような気さえする。
浮世離れと言えばいいのだろうか?
ともかく、ここが、日常から離れた世界だと俺は実感した。
まだ、『サルマキス・クラブ』の顔の一表面に過ぎないのだが、かなりの金が動いているのだろう。
舞台装置、質の高い作業スタッフ、テーブル席や調度品等を見れば判るというものだ。
「あ、あの・・・」
「ん?」
興味深げに店内を眺めている俺に、美里が小さく声をかける。
遠くから見ると判らないかもしれないが、隣に座っている俺には明らかに怯えているのが判る。
元営業部に所属してた経験があるから、堂々と振舞っているだけに過ぎないようだ。
テーブルの下で、俺の手をギュッと痛いくらいに握っている。
日常からどんどんかけ離れた世界に向かう事に不安があるのだろう。
『桂木経済研究所』で黒崎氏に挨拶をした時以外、サングラスを外さないのも、不安を隠すためかもしれない。
「見学というより・・・私達、軟禁されているのでは?」
「それで?」
「・・・いえ、その・・・」
「不安か?」
「はい」
美里は萎縮していた。
普通なら当然の反応だろう。
「どうして、彼らと係わろうとしたのですか?」
「面白そうだからね。それに、黒崎氏の語る『サルマキス・クラブ』に魅力を感じている。彼の提案はとても面白い」
「ですが、き、危険な場所にわざわざ近づく必要は・・」
「お前は俺の何だ、美里?」
「・・・・奴隷、です」
「ご主人様のする事に文句があると?」
「・・・・いえ」
美里は黙った。
「あのステージに立つのはイヤか?」
「・・・・」
「俺に従うと言ったのは、ウソか?」
「いえ」
「じゃあ、気にするな。何かあったら、俺が守ってやる」
「・・・はいっ」
俺の手を握っている美里の手を離し、指を絡めて握りなおす。
そして、美里の耳元に俺は囁いた。
「愛しているよ、美里」
「は・・・はぃ」
美里の緊張が若干解れた。
落ち着いた美里に一言付け加える。
「どの道、俺もお前も後には引けない事をしたんだ。こういう世界を知っておく見学会だと思え」
「はい」
美里の表情から強張りが消える。
しばらくの間、2人で動き回る作業スタッフを眺めて過ごしていると、ようやく黒崎氏がこちらに戻ってきた。
「お待たせしました。退屈だったでしょう?」
「いや、見事な仕事ぶりを拝見させてもらいましたよ。黒崎さんの指揮ぶりとかねっ」
「いえいえ、この程度は仕事とは言えませんよ。やって当たり前の準備をしているだけです。それに現場を仕切っているのは私じゃありません。私は必要な人材を集めて仕事を紹介するだけですよ。ここを仕切っているのは、ほら、あそこでカメラのチェックをしている彼です。よければ、後でご紹介しましょうか?」
「う~ん、いや、今日はいいです」
「そうですか? では、これからどうします?」
「これから?」
「はい。会員の方々が揃うのは夜9時以降になりますから、ずっと裏方作業を眺めるのも退屈でしょう?」
「あー、うん。そうだね」
「私は責任者として、ここに残らないといけませんで、付き合えませんが、若い者を付けますので遊んでこられてはどうでしょうか?」
「それって、監視?」
「まあ、そうなりますね。それとも、5時間ほどこの場でお待ちできますか?」
「ははは、じゃあ監視付きで」
「かしこまりました」
いい加減退屈し始めていたので、俺は黒崎氏の好意に甘える事にした。
せっかく東京まで来たし、観光でもと思ったが、一旦ホテルに戻って仮眠を取らせてもらう。
美里がけっこう精神的に疲れていたので、致し方ない。
午後8時、シャワーを浴びて着替える。
黒崎氏と完全に契約した訳ではないので、美里と俺は2人お揃いのスーツ姿で行く事にした。
下手にドレスなんか着ていったら、ショーを見学するどころか、飛び入り参加させられそうだからね。
ゴスロリファッションは、一旦お休み。
後日、ゆっくり楽しむ事にしよう。
迎えに来た車に乗り、会場へ向かう。
美里も俺も、ちょっとドキドキ。
店内は夜の表情をしていた。
高級クラブってこんな感じなのだろうか?
下品さを感じさせない雰囲気が全体的に感じられた。
優雅で落ち着きのある曲がBGMに流れ、店内はほんのり甘い花の香りが漂っていた。
スポットライトに眩く照らされた舞台が目に留まる。
舞台以外は照明を落とされ、テーブル席やカウンターが判る程度に暗い。
人影がテーブル席に疎らに見える。
カウンターから客席にドリンク等を配り歩く影はメイドさんだろうか?
暗くてシルエットでしか想像できん。
スタッフに案内され、舞台から一番遠い席に座る。
ショーの段取りは判らないが、俺は興味津々で成り行きを見守る事に決めた。
俺達の席に、ドリンクとおつまみが配膳される。
おぉ、メイドさんだ。
しかも、客間女中(パーラーメイド)。
控えめなヘッドドレスにフリルのついたエプロン、黒いロングワンピースが実にシックで良い!
うむ、感無量である。
是非とも美里に着せてみたいものだ、うんうん。
感動しつつカットフルーツの盛り合わせを摘んでいると、黒崎氏が現れて俺の横に腰掛けた。
「お待たせしました。ショーの開始はまだですが、どうぞ、そのままお寛ぎください。どうです? ここの感想とかはありますか?」
「凄くイイですね。メイドさんの服装が素晴らしい。あれだけ落ち着いた風情のあるメイドさんを見たのは始めてです」
「ありがとうございます。どうやら気に入って戴けた様でなにより。主役は舞台の華麗な華、給仕は密やかな華で演出していますからね。ヴィクトリア朝の衣装を集めるのに苦労しました。私はアンミラ風の方が好みなのですがね、まぁ関係ない話です。それと、給仕の子は全員ニューハーフなのですよ。お気付きになりましたか?」
「へぇ~、徹底してるんだ」
「本当なら、もっと集めてもよかったのですがね。美人で口が堅い子を探すのは骨が折れますよ」
「なるほど」
「それに背徳感のあるショーを行うのですから、清楚な給仕が側を歩いた方がギャップが大きくて楽しめるでしょう?」
黒崎氏は楽しそうに解説をしてくれる。
運営に自信があるのだと言わんばかりだ。
このまま話し続けてもいいが、仕事の邪魔はしたくないな。
「そろそろ挨拶回りとかしないといけないんじゃないですか?」
「ははは、お気遣い戴かなくてもいいですよ。もう、だいたい済ませましたからね。私はここでショーを最後まで見守るだけです」
「スタッフが優秀だと言う事ですね」
「まぁ、そうなりますね。楽なものです」
「今日のショーは何を見せてくれるんですか?」
「それは見てのお楽しみですね。気に入って戴けると何よりといった処ですね、おっと」
会話の途中で店内が真っ暗闇に包まれ、BGMが沈黙へと変わる。
テーブル上のモニターと、舞台に設置された大画面のモニターがブラックライトの様な照明を醸し出す。
「ショーが始まりますよ」
小声で黒崎氏がそっと教えてくれた。
すると、全てのモニターに映像が浮かび上がった。
画面には20代半ばのセミロングの女性が1人、まずは全身像が写しだされる。
撮影場所はどこかのホテルの一室らしい。
女性の衣装は、上半身にハーフカップのブラジャーだけ、下はミニスカート、どちらもピンク色。
続いて顔のアップ。
娼婦を思わせるようなけばけばしい化粧ではなくて、繁華街で見かけるちょっと派手めの若い娘、という感じのメイク。
笑顔を見せていて、大輪の花のような艶やかさだ。
「まずは前座ですね」
黒崎氏の小声で教えてくれた。
映像はちょっとしたニューハーフのプロモーションビデオと言った処か?
画面に姿を見せない男性からインタヴューを受けている。
名前は?
年は?
胸のサイズは?
と、男の質問に彼女は、甘ったるい声音で応じていた。
ここまでだと、普通のエロビデオの女優インタヴューと変わらないな・・・。
「朱音は、3番目にスカウトした娘でして、豊胸手術を受けさせたばかりです。まだ胸にしか手を加えていませんが、どうです? 男に見えますか?」
「前座で、このレベルですか?」
「ん? ああ、華のレベルですか? そうですね、中の上ってところですね。まあ、頭からキワモノを出すのものなんですし、おっと失礼。オチを先に言うところでした。私どものショーを最後まで見ていれば判りますよ」
朱音(あかね)が彼女の源氏名らしい。
カメラが彼女のミニスカートをアップでとらえる。
スカートの布地がペニスで突き上げられていた。
画面に男の腕が写り、彼女のスカートがまくられ、勃起したペニスが露出する。
男の手が朱音の男根を握って扱き始めた。
そして、射精に至るまで朱音は痴態を晒す。
巧みに編集している映像はなかなかのものだ。
絶頂を迎える瞬間に朱音のペニスのアップ、 ドピュッ! と白濁精液が勢いよく噴出し、さらに男が指で搾りあげ、続いて、第2、第3の流出が映し出された。
モニターには、彼女のその射精の瞬間が再びスローモーションで流される。
前座が終わったらしく、そこで店内に灯りが戻った。
「ふう・・・良い物見た」
「ははは、まだまだはこれからですよ、NAO様」
舞台のモニターが後方の白い幕へ下げられる間、客席にはドリンクのお代わりなどが配られた。
明るくなったので、横の美里に視線を向ける。
「どうした、美里?」
「・・・・・・」
美里は頬を真っ赤に染めて呆然としていた。
視線を美里のスカート向けると、勃起しているのが判るほど膨らんでいる。
返事がないので、指で美里の肩をツンツンと突く。
「美里?」
「ひゃいっ?!」
ひっくり変えたような声でカクカクしながら返事をする美里。
モニターの朱音と同じような事をした経験がある癖に・・・まるで、エロビデオを見ている時に後ろから声をかけられたような反応だ。
もしかすると、他人がするのを見て興奮したのかな?
何時の間にかサングラスを外している辺り、熱心に見ていたのだろうね。
美里をちょっとからかおうと思った瞬間、また闇に包まれる。
暗転してすぐに、舞台の後方からライトが当たり、女性のシルエットが浮かんだ。
テーブル上のモニターも舞台を写している。
次のニューハーフの登場かな?
白い幕の影絵が動くと同時にBGMが流れる。
今度は扇情的な曲だ。
舞台後方のライトが光源を徐々に落としながら幕を開く。
舞台にスポットライトが当たり、白いミニドレスを纏った金髪の女性がモンローウォークで歩み出てきた。
先程の朱音だ。
そして、舞台の前まで辿り着いた瞬間。
ブワッ
「きゃあっ!」
舞台下から風が舞い、朱音のスカートを下から捲り上げた。
白いミニドレスといい、モンローウォークといい、足元からの風のスカート捲りといい、ナイスな演出だ。
それと、ピンホールカメラが舞台に仕掛けてあるのだろう。
テーブル上のモニターには、際どい視点からの映像がいくつもリピートされて映し出されている。
しかも、朱音はノーパンだった。
会場がドッと沸く。
金髪はウィッグだったのだろう。
ほとんど外れかかっており、朱音は口を少し尖らせていた。
「おや、予定よりも風量が強すぎたようだ」
黒崎氏はクスッと笑っておどける。
たぶん、これも演出のうちなんだろう。
ウィッグを外して手櫛で髪を整える朱音の側に、マイクを持った男が現れた。
司会か道化といったところか。
覆面レスラーのマスクにタキシードの組み合わせがイカス。
「うい~、朱音ちゃん、とんだハプニングでしたねぇ」
「もうっ、せっかくオジサマ達のハートをゲットしようとしてたのに、台無しじゃない」
先ほどモニターでインタヴューしていた声が彼だったと判る。
ブツブツ文句を言う朱音と、笑いながら宥める覆面男。
面白い構図だ。
「あの覆面男は元役者でね、交通事故で顔が潰れて廃業寸前だったところを、司会としてウチで使っているんですよ」
俺の隣に座っている黒崎氏が呟くように言った。
舞台の男の名前は伏せられ、ゴートと言うここでの芸名だけ教えられた。
なるほど、よく見ると、マスクのデザインは黒ヤギだ。
額に六亡星が描かれていて、怪しさ充分である。
俺がゴートに注目しているうちに、朱音の挨拶が終わり、舞台に屈強な男が新たに2人登場した。
2人の男達は、ゴートを突き飛ばすように舞台裏に追いやる。
ゴートは情け無い悲鳴をあげて引っ込んだ。
白いミニドレスがビリビリに引き裂かれ、朱音の悲鳴があがる。
朱音の喉と尻をレイプ同然にペニスで突きまくり始めた。
どうやら3Pレイプショーのようだ。
『サルマキス・クラブ』のショーが本格的に始まった。
・・・・・・・。
「如何でした?」
朱音のレイプショー、性転換美女の処女貫通オークション、ニューハーフ同士のレズビアンショーを見て、俺は充分すぎるほど堪能。
中でも、2番目のメインイベントが面白かった。
黒崎氏が語ったキワモノが2番目だったのだ。
それは、拉致した普通の男を無理矢理性転換手術を施し、その作りたての女性器を誰が最初に貫くかをオークションで決め、セリ勝った会員が舞台で性転換美女を犯すといった悪趣味極まるショーだった。
1番盛り上がったのが、性転換美女のオークションだ。
1000万円を超えたセリ値、男丸出しで泣き叫ぶ性転換美女、なかなか見れるものじゃない。
美里は、そのショーを耳を塞いで見なかった。
まあ、まだまともな神経が残っているのだろうな。
「ええ、どれも素晴らしいショーでした」
「ありがとうございます。ところで、美里はどちらへ?」
「ん? さっき化粧を直すってトイレに」
「そうですか。身だしなみは大切ですからね。さて、見学されてみて、どうでしたか? これは、まだ『サルマキス・クラブ』の運営の一部に過ぎませんですけど。NAO様は大変楽しまれておられたようですし、私どもと一緒に仕事をやれる自信はおありですか?」
「もちろんっ」
「その言葉で安心しました。では、今日はここまでと言う事で。美里さんが戻られたら送迎致しますね。ここまでかかった宿泊先のホテル代や移動費用はこちらでご用意しますのでご安心を」
「助かります」
「そうだ。明日の午後、本契約としましょう。こちらから迎えを遣しますので、それでよろしいでしょうか?」
「ええ、それで」
「はい」
黒崎氏と明日の予定を話し合っていると、ようやく美里が戻ってきた。
「長かったね」
「お待たせして申し訳ありませんでした・・・・・ど、どうしました?」
若干精液臭い。
コイツ、トイレで一発抜いたな?
まあ、いい。
ホテルに帰ったら、これをネタに可愛がるとしよう。
これからもっと楽しくなるぞ。
・・・続く